喧嘩勃発?
※スパコミ配布ペーパーです





今日は五月五日。
……といえば
「かっしわっもちー!かっしわっもちー!」
と横で叫んでいる竜崎に出会える。みなさん、後のことはどうぞよろしく……。
とか僕が嘆いているのは花見のときの嫌な思い出が蘇るからだ。あいつは僕に道明寺の葉っぱだけ食べさせておいて、ものすごい数を一人で独占した。おかげで一日の平均塩分摂取量を軽く越えたに違いない。
柏餅の葉っぱはたべられないからな、竜崎。
見やれば奇妙な踊りを踊りながら、子供用のちいさな鯉のぼりで遊んでいる……おい、ここは捜査本部だ。捜査本部なんだよ!(大事なことだから二回言った)
「みなさん、今日は男の子の日です!庭園で柏餅食べましょう。」
斯くしてミサを除く全員が庭園に移動することになった。
庭園というのはこのビル内に設けられた2フロアぶち抜きの温室のことだ。前回は唖然とするばかりだったが今は桜も散っている頃、見どころなんてあるのか、と思って冷静な目で見ようとフロアにはいった。
すると、ハナミズキが美しく、暖かいのかアジサイが控え目に花を付けている。イギリス式の庭は野性味があると聞いていたが、確かにそのようで、鬱蒼と繁る中にもある種の法則性があるように感じた。
「桜の木の下でも大丈夫ですよ。ワタリが管理しているので毛の生えた虫が落ちて来たりはしません」
「ここもワタリさんが?!」
どんだけ仕事してるんだ。というかいつ寝てるんだ。影武者でも居るのか?
などと僕が夢想している内に、立派な桜の木の下にまたブルーシートを敷いて(花見の時もそうだった)そこに銘々座って模木さんの作ったすばらしい柏餅に舌鼓を打った。
……だけならいいのだけど、また竜崎に葉っぱを押しつけられた。
「竜崎……柏の葉っぱは食べられないよ?」
「知ってます。でも月くんの毎晩のスーパーテクニックでこれをどうにかしてリサイクルしてください」
ちょ……みんなの前で毎晩とか言うな!
「無理に決まってるだろ?そんなんじゃ鶴折るとかできないし……」
「そうですね……じゃあ裸になって、イチジクの葉よろしく股間を隠すとかどうですか?」
「ほほう……じゃあ先に見本を見せてくれ」
「そんな馬鹿げたことはごめんです」
「おまえが言ったんだろ?」
段々と距離が近づいてにらみ合いから互いの両手をぐぎぎと併せて殴り合いの喧嘩勃発になるところだった。
「まあまあふたりとも。食べ物で遊んではいかんよ、静かにしなさい」
という父の声で竜崎が急に力を抜いた。
反動で僕の腕が竜崎の方にぐぐっと傾く。力のモーメントってやつか?
ぐいっと押しつけて、そのまま竜崎を押し倒すような格好になってしまった。
慌てて体を離そうと離そうとしたら、竜崎の足がからみついて来て離れられない。おい、こんなところで疑われるだろ(実際そういう仲だけど)。
「こら、竜崎遊ぶんじゃないよ」
取り繕って必死でごまかしにかかったら、竜崎が柏の葉っぱを唇に押しつけて、それからちゅっと僕の唇にキスをした。
「ちょ……」
「ふふ、冗談ですよ。こんな遊びもできるかと思いつきまして」
なんだか完全に負けた気がするがこの際気にしていられない。
僕はあわあわしながら竜崎のキス攻撃から逃げまどった。……ああ、もうこれだから嫌だったんだ。ちょっと嬉しいけど……。
「やっぱデキてるんですかねえ……」
「やめろ松田」
相変わらずの相沢さんのつっこみを耳にしながら、僕と竜崎の遊びは続くのだった。




end