お花見ですね。
※HARUコミ配布ペーパーです。


「ああ、春ですねえ……ぽかぽか陽気です。ね?月くん」
「え、あ、まぁそうだね」
こういう時の竜崎は危険だ。
今度は何を言い出すかという不安に身構えた僕だったが、案の定と言うか拍子抜けというか、花見がしたいと言いだした。
「でもね、竜崎、桜はまだ先だよ?」
「わかっていますそんなこと。子供扱いしないで下さい」
ぷうと頬を膨らますその様をみて子供扱いしない方がおかしい。
やれ南国に飛ぶとか言い出さないかと不安を覚えるもつかの間、
「月くん、温室に行きましょう」
と驚き発言がでた。斜め上からの攻撃だ。
しかも、
「このビルには2フロアぶち抜きで桜の木も植樹しているんですよ」
とかびっくり発言がでた。
「お、温室に桜!?」
ビル外の話しかと思ったらビル内の話か!
「はい、そうです」
これにはその場にいた全員が凍り付いた。ここって捜査本部じゃなかったのか。温室作ってどうするつもりだったんだ。お散歩か?
ま、まぁこんな竜崎に驚いて居ては僕らしくもない。
「そこの桜は咲いてるの?」
「今五分咲と言うところですが……一番見頃だと思いますよ」
そう言う話なので本部全員でなぜか花見をする事になった。
場所取りが必要でもないのに、ブルーシートを敷いてしまうのは悲しき日本人の性だ。
早速酒だつまみだ必要になった所で、模木さんがお手製の道明寺を作ってくれた。さすが料理を趣味にしているひとは違う。
全部整った所で礼儀正しく頂きます、とみんなで合唱して料理に酒に舌鼓をうつ。
どれも美味しくて(僕はお茶だけど)良い感じに酔っ払った所で模木さんの桜餅を登場させた。
竜崎の目が輝く。
「おいこれ、お前の分じゃないからな、みんなの分だからな」
「わかってますそんなこと」
「本当にわかってるんですかねえ」
松田が茶々を入れる。
「わかってないだろ絶対」
相沢さんも小声で突っ込んだ。
「まあまあ竜崎、私の分は食べていいぞ」
と父が言い出すと、みんな2個分あったのを1つずつ竜崎に渡した。
竜崎は嬉しそうに
「ありがとうございます」
と礼をいうとなんだかギャップにみんなドギマギしていた。
だめだよみんな、竜崎は僕のものだ。
……が。
竜崎は残酷にも道明寺の桜の葉をベロンと剥がして食べだした。
「おい、残すなよ、失礼じゃないか」
「しょっぱいものは苦手です」
「残すなよ、せっかく模木さんが……」
「じゃあ月くん食べて下さい」
「え、えええー?」
と、僕の口に桜の葉っぱが突っ込まれる。
なんだか色々がっくりしたけれど、竜崎の偶の笑顔が見られたからいいよね。
もうすぐ外はお花見シーズン。
今度は外でお花見しようね、竜崎。





end