――――都内デパ地下にて。
※3/18HARUにて配布したペーパーSSです。
ホワイトデー小話
「ホワイトデーって言ったらやっぱり安牌はクッキーだよな……けど不満が出るかも知れないな。どうするべきか……うーん」
「お菓子のやり取りというのは素晴らしいですがどうもこの習慣が理解できません。何でもいいじゃないですか、意味まで考える人口は少ないと思いますが」
「馬鹿、もし調べられて深読みされたら困るだろ?安全圏を行くのが僕のポリシーなんだよ」
「月くんは案外無駄な時間の使い方をするんですね。そんな物マシュマロでも投げておけばいいじゃないですか」
「投げるってお前。……なに、彼女がいるのが無駄なのか?そういうやつって結構いるよね、お前もなの?」
「違いますよ。恋愛は無駄じゃありません。ですが愛してもいない人間とつきあうのは無駄でしかありません」
「なにそれ。知ったようなこと言って。そういうお前はどうなんだよ、恋なんか知らなそうな顔して」
「偏見ですね、それくらい知ってます。私は無駄な恋はしませんよ。好きなら全力をかけますし、恋するなら一生に一度の大恋愛ですし、しかも今その真っ最中です」
「へえ……誰と?って僕が知る訳ないか」
「とても素敵な人ですよ。見目が良くて、頭も良くて気が利きます。ちょっとひねくれてますがそこが可愛い」
「……ふうん。随分入れ込んでるんだ」
「そうですね、ぞっこんですから」
「……そんならお前もなんか買えば?誰か知らないけどよろしくやれよ」
「わかりませんか?客観視が難しいという意味では確かに月くんは知っていると言えないかもしれませんが……」
「回りくどいぞ」
「すみません。ふふ。まぁぶっちゃけあなたの事ですね」
「――――は?なにそれ、キラだから……ってオチ?」
「いいえ、〈夜神月〉を愛しています」
「え?」
「あなたを愛してます」
「……ふうん……まぁ……えーと」
「なんですか?何か文句がありますか?」
「馬鹿、無いよ。それなら言うように無駄な恋じゃないな。多分大恋愛になるし」
「そうでしょう?すばらしい相手です。史上最強のカップルですよ。私達を超えるものなど絶対にいません」
「絶対はともかく僕まだ返事もしてないけどね。お前と付き合うなんて史上最凶っていう方がしっくりくるかな」
「照れなくていいです月くん」
「僕は照れてない」
「なに真剣に答えてるんですか月くん」
「……馬鹿。うるさいよお前」
「馬鹿馬鹿言わないで下さい。それしか語彙が無いんですか?」
「お前な……」
「真っ赤になって可愛いですね」
「ほっとけ」
「……とまぁそういう訳で、月くん。私にキャンディーを下さい」
「は?僕お前から何も貰ってないけど……ていうかむしろやったじゃないか」
「いつも面倒見てるじゃないですか。可愛い伴侶の私に飴のひとつもくれてやろうと思いませんか」
「いやお前、この前は旦那様になって差し上げますとか言ってチョコ強請っておいてそれは……」
「何か問題でも?」
「……いや、無いけど。ある……か?うーん」
「くれるんですか、くれないんですか?」
「あー……うん、解ったよ解った。キャンディな、何がいいんだ?キャンディ屋なんて知らないぞ、チュッパでいい?」
「私は月くんのキャンディがあれば他に何も……などとは死んでも言わないので安心して下さい。チュッパチャップスでいいですよ、歳の数だけお願いします」
「ちょっとぞくっとしたよ色んな意味で……じゃぁ節分の豆みたいに歳の数やるから誕生日教えてよ」
「あ!そうやって個人情報を聞き出しますか?侮れません」
「まあ、そう言うと思ったけどね。面倒だから百本買ってやるよ文句ないだろ?」
「私そんなにお爺ちゃんじゃありません。それじゃワタリより年配ってことに」
「百まで生きればいいだろ、毎年買ってやる」
「………………」
「……なんだよ」
「そんなに私を愛しているんですね、やっぱりあなた可愛いです。嫁に来なさい、幸せにしますよ」
「馬鹿言うな、お前が嫁だろ」
「あ、認めましたね?認めましたよ、ほら、私がお嫁さんです、だから言ったじゃないですか」
「あーもーお前面倒くさい!」
「好きなくせに」
「言ってろ」
おしまい
キャンディ→好き、クッキー→友達でいよう、マシュマロ→嫌い。