※月Lが眩暈がする程馬鹿ですのでお気を付け下さい。
馬鹿話A パソゲー
「月くん、離れている間に連絡を取れる手段を作っておきましょう」
「……ああ、まぁそういうのは必要だろうけど。何?離れる予定でもあるの」
「いえ、今のところ全く」
「あっそう。じゃぁ別に要らなくないか」
「備えあれば憂いなしです。さあこれを」
「……なにこれ、PCゲーム?携帯とか独自回線じゃなく?」
「なんでそんなものわざわざ用意しないといけないんですか」
「凄い凶悪になるからそういう顔するのやめようね」
「97年発売のUOというMMORPGです。スキルアップに恐ろしく時間がかかるので、今からキャラを作っておくべきかと思いまして」
「……いや、別にいいだろやらなくて」
「チャットしながら冒険すれば、デートも出来て一石二鳥です」
「デートはデートでちゃんとしたいんだけど……ってさ、お前外に出ないからデートもちゃんとしたことないよな?まさかこれで済ませようって……」
「さぁさぁいいから始めますよ。そこにインストール済みのノートを用意しておきました。マシンはプレゼントです」
「携帯用意するより面倒じゃないか? 貰うけど」
「ハッキングマニアな月くんに合わせてカスタムしてみました。愛情たっぷりですよ」
「マニアじゃないからね」
「いいから始めましょう。私のは発売当初からアカウント作ってますので相当強いんです。これから月くんを鍛えますよ」
「お前って案外暇なの?」
「え、何か言いました?」
「なんでもない。ええとコレか?あ、始まった。なんだか随分クラシックな感じの画面だな。英語だし」
「そこがいいんです。世界共通のゲームなので公用語は英語です。日本語にも対応してきていますがまだ大半のコマンドは英語ですよ。まずはキャラを作成して下さい。性別と名前とカラーリング位ですけど」
「……こういうのの名前って苦手なんだけど……Lightでいいか」
「KIRAじゃなくていいんですか?」
「殴るよ?」
「5人まで作れるのでKIRAもその内是非。さてじゃぁスタートの街まで迎えに行きますね。私を見つけて下さい」
「え、ここに居るキャラみんなそれぞれ人間なの?」
「例外もありますが、名前が黄色いのは機械ですよ。青いのがプレイヤーです。たまに赤いのもいますが、赤いのはPKと言ってこの世界での殺人者なので会ったら逃げましょう」
「うわぁいっぱい居るな。解るかなぁ……って、お前もしかしてこれ?……酷くないか」
「えへ、みつかっちゃいましたね」
「L、ってまんまじゃないか。少しは捻れよ。あ、なんか頭上に文字が」
「話しかけてます。こうやってチャットするんです」
「へえ、僕も何か書こうかな」
「愛してるがいいです」
「公共の場で馬鹿だと思われるだろ」
「じゃぁ私の家に行って愛を育みましょう。Gate travelを唱えると……Vas Ort Porと出ましたね?これが魔法です。で、この青いのがムーンゲートです。ダブルクリックして下さい」
「……解ったよ。あ、移動した。何これ城?ドア閉まってる」
「私の家です。UOでは空き地と資金があれば家が建てられるんです。しかし人口が増えて土地が不足してまして、今から新築すると6マス四方が限界でしょうから月くんは私が引き取ってあげます。はい、同居人登録終了です。晴れて同棲スタートですね」
「ドア開けられるようになった。なんか箱だらけの殺風景な部屋だな」
「……同棲開始の感慨とかないんですか? 家は荷物が置ければいいんです。カスタムする人も多くて色々工夫すると面白いですよ。慣れたら月くんに内装をお願いします」
「へえ、そういうの割と好きだな。その内やらせてもらうよ」
「可愛くして下さい。さぁ冒険です、冒険」
「その単語えらく似合わないな」
「いいから今床に出現した袋を拾って下さい。中の装備品は私のお手製ですよ。名入れしちゃいましたので私に包まれて下さい」
「なんかいちいち気持ち悪いよお前……うわ本当だ、Lって出る」
「黒ローブだけは限定アイテムですね。似合うと思ったので差し上げます」
「似合うも何も僕自身が着る訳じゃないだろ。お前の完全ナイトスタイルよりは格好いいけど……って他はお揃いかよ」
「機能を追求すると大体同じになっちゃうんですよ。ローブ着ると見えなくなるんだからいいでしょう?他にも一通り入ってますから、装備したら出かけますよ」
「ダンジョンとか行くわけ?」
「まだ無理です。とりあえずは牧場です」
「牧場?」
「最初は鹿と戦って貰います。勝ったら牝牛、雄牛と、徐々に強くします。包帯巻いてあげるんで体力の心配はいりません。行きますよ」
「鹿かー、格好悪いなぁ」
「最初は皆そうやって強くなるんです。つべこべ言わない。はいゲートダブルクリック」
「はいはい。……わぁ、本当に牧場だな。鹿と牛だらけ。あ、羊もいる」
「では戦闘モードに切り替えて、ターゲットをダブルクリックして下さい。ほら向かってきました。それで倒すまでひたすら叩くんです」
「何これ、鹿相手に凄い時間かかるんじゃないか」
「だからスキル上げに時間かかるって言ったでしょう?今日は鹿で頑張りましょう」
「りょーかい」
「さて、ここのところの修行で段々戦士っぽくなってきたので、もう一人作りましょう。今度は生産キャラです」
「生産かぁ。じゃぁ女の子にしようかな。色白肌に髪は黒のロングにして……Sayu、と」
「……本当シスコンですね、貴方は」
「いいだろ、可愛いんだから」
「あー、はいはい解りましたよ。じゃぁこれ差し上げますね。服一式とピックアックスと転送袋と火ゴキ」
「お、ミニスカート可愛いな。火ゴキってこの赤い虫?乗れるの?」
「乗るだけじゃなくて溶鉱炉にもなるんです。掘りのお伴です」
「掘り?ああ、採掘するのか」
「そうです。掘って溶かしてインゴットを作り、鍛冶スキルで武器防具を作ります。鍛冶スキルを上げないと気に入った戦士装備のメンテが出来ないんです。一人のキャラで7つのスキル習得が可能なので、生産なら掘り・鍛冶・細工・裁縫・大工に振って、魔法を少しやるといいです。生産キャラは戦えないので安全圏で掘りましょう。さあこっちです」
「ああ、街中か。こないだの鹿牧場のそばだな」
「はい、便利なんです。さてやりましょうか。掘り方は簡単です。差し上げたピックアックスをダブルクリックしてターゲットを岩に。ほら掘れるでしょう?」
「本当だ、中々良い音だな」
「じゃぁ頑張りましょう」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……おい、竜崎」
「なんでしょう?」
「余り認めたくないが……これ中毒性ないか?」
「ありますね。廃人を山ほど生み出している魔性のゲームですから。面白いでしょう?」
「悔しいけど……この単純作業が堪らない」
「ふふ、でしょう?しかも月くんと並んで掘れるなんて夢みたいです」
「なんだか解る気がする。確かにデートだな」
「そうですね。一緒に採掘したりキコリをしたり、狩りに行ったり、家でまったりしながら会話したり、何でも自由なんです。誰も見ていない空間で装備全部とって裸で踊り狂えば親睦も深まりますよ。さてそろそろ20分経ちましたね、最初のポイントに戻りましょう。鉱石が復活しているはずです」
「裸で踊り狂う……それ早速やらないか?」
「掘りはいいんですか?」
「もう覚えたから今日はここまでで。さあ竜崎寝室へ行こう」
「え、月くんそっちですか、え、本当に?バーチャルでなくリアルで?」
「勿論だ、さぁさぁさぁ」
「え、ちょ、っあ! だめです、だめ、あっ、待っ……!」
――――ズルズル 暗転――――
「さあ、竜崎今日は何をしようか」
「そうですね、そろそろ強くなってきたので初心者向けのダンジョンに行きましょうか。魔法食らって魔法防御でも上げましょう」
「いいね。じゃぁ僕はいつもの戦士で。竜崎は?」
「私は久々にネクロマンサーでもやりましょうか」
「あはは、お前召喚しまくるからなぁ、やり方がえげつないんだよ」
「月くんのやり方は正攻法すぎて苛々するんですよ、手っ取り早くやらないと死にますよ貴方」
「でも死なないようにこないだ包帯マクロも書き変えたじゃないか」
「もうちょっと性能を上げるべきです。ガチンコの戦士でしたら少しはポーションも使わないと。その辺のマクロは書けますか?」
「ああ、じゃあ書き変えてみようか。ええとディレイを……」
「あ、いいんじゃないですか?それでバグらなければ。流石ですね月くん」
「じゃぁさくさく進めようか。頑張ろう」
「ええ、頑張りましょう」
『……あの二人、偶には仕事……』
『それ以上言うな松田……』
end
本当スミマセン……。