ワインの話





「月くん、これでワインを三本買ってきて下さい」
「……いいけど、僕知識無いよ?まだ未成年だし」
「解ってます、大体でいいです。割となんでもいけますから月くんの良いと思った物を買って来て下さい」
「ふうん、解ったけどさ。お前が用意させるワインなんて、一本何万もするのかと思ってた。三本一万なんて庶民的だな」
「まぁ高いのも飲みますが、気楽なのも好きなんですよ。そういうワインばかりだと肩がこるんです」
「へえ、そんなもの?」
「そんなものです。その内解りますよ。さぁ、何でもいいから三本です。私を納得させて下さい」
「納得ってね、お前……なんでも良くないじゃないか」
「ふふ、期待しています月くん」



「お待たせ竜崎」
「万全ですか?見せて下さい」
「気に入るといいんだけど……これと、これ、これかな」
「――――月くん」
「え?やっぱり駄目だった?」
「本当に……がっかりする位なんでも出来ますね貴方」
「がっかりって、酷いな。頑張って調べたのに」
「さり気なさとかコストパフォーマンスとか無難さとか、色々と滲みでていてかえって厭味です」
「なんだよそれ、付け焼刃だけど結構勉強したんだぞ」
「本当にがっかりです。この時期だったら思いっきりヌーヴォーだと思ったのに」
「旨いヌーヴォー飲みたいなら予約してるはずだろ、だから納得しない気がしたんだよ。
 父さんだって毎年スーパーかコンビニで買って来るし、お前の言うワインはそう言うのじゃ無い気がして」
「まぁ、当たってますけどね。新酒が悪いとは思いませんが……好みでもないですね」
「だろ?良かったよ」
「はぁ、まったく合格ですよ、月くん。これじゃワタリのお株が奪われます」
「え?本当?」
「本当です。こうなったら普段のは月くんにお願いしましょうか。
 ワタリにはセラーの維持さえしてもらえればいいですし」
「セラーなんてあるんだ?」
「この本部には百本入るのが置いてあります。ワタリが管理しているのはセラーというよりカーヴですかね。
 いちいち探すのが面倒なので、気に入ったらまとめ買いするんです。
 月くんの生まれ年の貴腐でいいのがありますよ」
「いいよ勿体ない」
「構いません。同じのが百本以上ありますから。今度飲みましょう、ケーキと合うんです」
「お前本当に容赦ないね。……ケーキって、甘くないのは無いの?」
「ふふ、冗談です。私はケーキですが月くんにはチーズが色々ありますよ」
「僕飲めないよ」
「大人扱いされたいんでしょう?いいじゃないですか、目をつぶってあげます。
 美味しいワインを選んで頂くには覚えて貰うのが一番です」
「全く、大した大人だな」
「そんなの、貴方に言われたくありませんよ」






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20111111 拍手御礼SS『ワインの話』 kina
未成年飲酒はダメです(汗

タケダワイナリー アストール
モスカート・ペタロ
サルヴィオーニ ロッソ・ディ・モンタルチーノ

イメージでは↑この三本を選んでみました。
ペタロは今は購入は無理ですが、TDSでまだ飲めるかも。
無難な感じですが、みんなお勧めです。

文中の貴腐はディケムの86。